DESIGN FOCUS

青島設計が大切に
していること
#東京オフィスからのFOCUS

ただの【集約】ではない、誰もが訪れやすい心地良い【複合】公共空間の実現

練馬区北保健相談所ほか複合施設

OUTLINE

本施設は「練馬区公共施設等総合管理計画」に基づく第一弾リーディングプロジェクトとして、旧保健所、敬老館、児童館の複合施設として計画されました。性格の異なる各施設が長年個別の施設として運用されてきており、職員の方々および施設利用者にとっても複合化に対する不安や戸惑いがある中、従前の各施設の管理・運営形態、利用の利便性・満足感を保持しつつ、限られた敷地・容積の中で、時代に即したコンパクトかつフレキシブルな公共空間を実現することが求められました。


MISSION

「訪れやすさ」「わかりやすさ」「なじむということ」

「複合化したら1箇所で色んな施設が集約して便利になるね。」 傍から見ればそんな風にも思えてしまうかもしれません。けれど、長年個別の施設を運営してきた職員の方々、利用してきた区民の方々からすればそんな単純な話ではない。「運営時間が違う」「お年寄りがいるところを子供が走り回ったら危ないんじゃないか。」「なんだか戸惑いそう。」「複合化したらあれはなくなっちゃうの?」・・・色んな声が聞こえてきました。元あった機能を全て集約できるわけではない。けれど「訪れやすさ」「わかりやすさ」「なじむということ」に留意しながら各機能をつかず離れず緩やかに、かつ少しでもフレキシブルに繋いでいくことができれば満足頂ける空間を提供できるのではないか?そんなことを考えながら計画を進めました。

SOLUTION

【訪れやすさ】~開放的なエントランス廻りの表情と施設を貫く通り抜け通路

【訪れやすさ】                                 

「新しくできる公共施設は立派に、誇りに思えるように・・・」そんな風にも考えたくなります。けれど日常的に利用する方々にとって一番大切なのは「ふらっと気軽に訪れることができること。」複合化で施設は大型化しますが、エントランス廻りの開放感・軽快感の演出を心掛けるとともに、南北のエントランスを繋ぐ貫通通路を計画することで、日常的な通り抜け通路としても使って頂ける開けた公共空間の実現を目指しました。

SOLUTION

【わかりやすさ】~明快なフロア区分と見渡せる諸室配置

【わかりやすさ】                                 

「複合化による利便性の向上は期待するが、やはり従前の「保健相談所」「敬老館」「児童館」それぞれの機能・管理区分は明確にしておきたい」・・・様々なディスカッションを経て最終的に本計画の方向性はそのような形となりました。そのため、各機能はフロアで明快に区分する形となっています。ただ積層し、諸室を並べただけでは今まで以上に足を運びにくい施設となってしまう。そのため、エントランス廻りの開放性の確保とともに、各フロアでは大きく開けた共用エリアを中心に空間や視線の繋がりにも留意しながら諸室を配することを心掛けて計画をしています。

SOLUTION

【なじむということ】~落ち着きと多彩な表情

【なじむということ】                              

「複合化に伴い利便性を向上させ、機能を付加し、地域の多くの方に利用して頂く。」それもひとつのなじむということ。 本施設の計画でも諸室の一般貸出しや共同利用など、ソフト面の柔軟化が図られています。では、ハード面、建築として地域にいかに「なじむ」か?計画地は戸建住宅が立ち並ぶ住宅街です。3層からなるボリュームを住宅スケールに落とし込み、従前の風景、生活の中にすっとなじませる・・・そんなことを考えながら外観を検討しました。落ち着いたアースカラー、ボリュームを分節しつつ全体に統一感をもたらすスラブライン、抱きを深く取った開口部、簡素な外観に揺らぎと軽快感を与えるリズミカルな木製ルーバーと壁面緑化・・・などの要素を取り入れています。本計画では条例上少し戸惑うくらいの緑化要請もありました。外構のあらゆる平場と屋上を緑化し、それでも足りず、南・東外壁面に壁面緑化を取り入れる形とはなりましたが、時間を経てこれらの緑が施設をやわらかく包み込み、時を経て地域になじむ施設となることを願います。

VOICE

設計者の想い

皆が皆、複合化ウエルカム!ってわけじゃないんだな・・・そんな初感からこの計画は始まりました。、設計者としてはとかく「何か新しい提案を!」とイキり立ってしまうところ、色々な方々の御意見、御要望を聞いているうちに、そんなことよりもまずは一人でも多くの方の願いを汲み取ってあげたい・・・と考えるように。以降、できるだけヒアリングを重ね、議論し、計画を進めました。その点についてはまあそこそこは・・と感じています。ただ振り返れば、その一方、調整ばかりに勝手に忙殺され、結果的にデザインの詰めなど、様々な面でコントロールが至らなかった点も痛感しています。「施設名称決定の際のサイン用に」と開けていた外壁面、結局統一の施設名称は特につかず、ぽっかりと空いてしまったりもしました。意見をくみ上げるということ、設計者としてそれを統合し計画としてまとめ上げるということ、当たり前ながら、その両面の重要性とバランスを痛感したプロジェクトでした。今ならもう少しだけうまくやれるかな(笑)?

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