OUTLINE
本計画は東京都荒川区内の女子中高一貫校の校舎の増改築計画です。時代の経過にあわせて順次増築を重ねてきた校舎群の一部を高層棟として改築、集約することで、住宅街の中の限られた敷地を最大限有効活用し、新たに豊かな内・外部空間を創出することが求められました。
MISSION
限られた敷地を最大限有効活用し、豊かな内・外部環境を創出する
北豊島学園様は都内の住宅街の限られた敷地の中で順次校舎を増築し、教育環境を拡充してこられていました。ただ、校舎群の一部は老朽化が進んできており、今後の学園活動の更なる発展を見据えて校舎群の一部改築を御決断されました。
本計画では、仮設校舎の建設等が実質不可能なため、改築予定の既存校舎で授業等を継続しつつ、向かい側に高層の新しい教室棟(中央棟)を建設、引越後既存校舎を解体してから、新たにテニス場を整備するというステップを踏む形となりました。高層棟の建設と外部空間の新たな創出、限られた敷地の中でこのふたつの課題に対していかに向き合っていくか?ということが求められた計画でした。
SOLUTION
高層化の利点を生かし、学園生活の様々なシーンを彩る豊かで多彩な内部空間を創出
高層化した校舎では、最上階に体育館を配置、下階の教室群については通路を中央に、両側に教室群を配置するというシンプルな構成としています。、中央通路は、幅4.0mを確保、教室とは視界の抜ける開放的な建具で繋ぐことで、中央通路が単なる動線ではなく、多彩な交流を生む共用スペースとして機能することを意図しました。中央通路は階ごとに凸凹と様々な形態をとりながら、それらの空間が吹抜を通じて他階とつながることで、シンプルな構成に動きを生む多彩な共用空間を生み出しています。





SOLUTION
配棟に留意し「静と動」ふたつの独立した外部空間を創出
正門側の学園の気品と風格ある表情は確保しつつ、登下校動線から独立し、十分な運動を行える外部空間を作ってあげたい・・・学園の職員の方々からはそういった声が多く聞かれました。運動スペースを十分に確保すれば、正門側は手狭に、正門側の顔づくりばかりを優先すれば、外部スペースはやはり中途半端になる。それに加え、既存校舎との位置関係から新棟の配置はかなりの制限を受ける状況もありました。そんな中、配棟を十分に検討し、正門側には大庇による出迎えの表情と落ち着きある憩いのスペースを、校舎反対側にはまわりを気にせずスポーツを楽しめるコートを実現しています。


VOICE
設計者の想い
施設のプログラムとしては教室群を主体としたシンプルなものでした。さらっと積層化して建屋をさらにコンパクトに計画し外部空間を少しでも大きく・・・という選択肢もありました。ただ、やはり「学校」という空間は授業のためだけの箱ではなく、多感な年頃に多くの人と多くの時間を過ごす大切な空間だと思います。多様な人と様々な話をし、時にはひとりでたたずみ、時には友達と大きな声をあげて走り回る・・・限られたスペースと多くの制約条件、限られたコストの中で、それをいかにバランスよく実現するか?と考えた日々でした。
